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2018.02.15 Thursday

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    大島紬の織り手・人生の経

    2010.03.27 Saturday

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      動画にアップできたものは、こちら1本だけ。

      クリック→http://umu-waka.jugem.jp/?eid=40


      他は、諸事情により公けにはアップできないので、個展の時のみ

      お見せしようと思います。




      2010年3月5日 午後5時半〜


      織り手のキ代子さんと『月光』を前に、緊張感で言葉が出ず

      ただ、凄いですねとしか言いようがなかった。脳からは小学生レベルの

      国語辞典さえ無くなってしまったような私になっていました。



      そして

      土足では入られない、その本質に気軽に触れてはいけない。そんな気がして。

      それは敬意、そして、何も知らない内地からきたという勝手な遠慮だったかも

      しれない。



      硬直する私に興社長は、うまく間の手を入れて下さったり

      『一緒に写真ば、撮らんかね〜』

      と、促して頂いた。






      『昔はね、もうね、夢中で織ったがですよ〜。

          朝の6時から夜の10時ぐらいまではね〜。』




      『若い頃はね〜、誰がいちばん早く織れるか

       コンテストがあったですよぉ。いえや〜ん、負けられんばい!

        って頑張って織ったがですよ〜。』





      壁にはいくつかの賞状がかかっていた。


      昭和四十六年 大島紬産地競技会

      大島紬 九マルキの部 入賞 (マルキー絣模様の細かさを表します。)
      興紬工場



      色褪せた賞状から、大島紬がにぎわっていた頃の、活気あるその風景が

      浮かび上がって見えたような気がした。






      あんたは、内地から来たね〜?

      あんたは、鳥取から来たね〜?

      あんたは、山口から来たね〜?

      目の前の、名古屋コーチンサブレを眺めながら、何度もどこから来たのか?

      そう聞くキ代子さん。




      そんなキ代子さんは、昨年末、屋根から落ちて左手首を15針縫う大怪我をした。

      生々しく残る傷跡の下には、神経などを固定するパイプが入っているそうだ。



      『何度もね〜、興さんとこに電話をせなんばって、思ったがですよ。

       織られんば、織られんばって

       毎日、電話せんばって思っていたがですよ。』



      『でもね、今年に入ってから高機の前に座ってみて

        少しだけ動かしてみたら、織れたがですよ。』









      今は、動かせづらい左手をかばうように、少しずつ織っている。

      それでも、センマイどおしを使って、両手で織り目をの合わせる作業は

      難しそう。




      『あんたは、鳥取から来たね〜?』と、聞くキ代子さん。

      技の記憶だけで、織られているようだ。

      座り心地の悪い高機で、無心に織られる姿を拝見していて胸がいっぱいになった。



      その大島紬、そのののが、愛おしくてしかたがない存在と思った。



      涙が溢れそうになった。

      でも涙を流す事が、キ代子さんの人生の経に失礼に思えて

      泣くことを一生懸命我慢した。



      昔は、人身売買から逃れるためには大島紬の織り手になることだけ

      しかなかったと聞いたことがある。

      キ代子さんの人生の選択はどうであったかは、わからない。



      けれど、この精密過ぎる高度な技を要する『月光』と向き合うキ代子さん。

      なんだか意味もわからず、胸の内側からこみ上げる。




      興社長が、そろそろ行くよ。と玄関を出た。

      私は、胸が詰まってうまく話せない状況で感謝を伝えると



      キ代子さんは、

      涙を汗のように拭いながら、


      『あんたのように、内地の若い人にも

       こんなふうに思ってもらって......

          ののを織ってきて、良かったぁ........。』





      車に乗り込むと、興社長は

      『キ代子さんも、あと、二反、織れれば、いいとこだなあ』と。



      『他にもベテランの織り手もいるけど........

       それにね、今は大島紬が売れないから、織りたくても織られん

        おばちゃん達も多い........。』





      なんだか

      ものすごい印籠を頂いたような気がした。





      少しずつでも、大島紬のこと、奄美大島のこと、

      色んなことを、しっかりと伝えて、高級品でツンとした大島紬!ではなく


      愛おしくて、大切に大切に感じてもらえる方々に

      一反でも多く、届けたい。



      そんな、覚悟にも似た意志が私の中に芽生えました。








      月光の織り手 渡 キ代子さん76才

      2010.03.27 Saturday

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