時の織りの中
2017.01.30 Monday
ここ数日、届いた100枚のストールの検品が続いている。今日で4日を越えている。
ストールの検品は、一枚一枚、まるでスキャナーのようにストール布地の上に目を走らせる。
糊落としの時に糸がよった箇所や、糸の継ぎ目のケア、一度濡らして見ないとわからないと織りの弾がある箇所が
見えないことものがあるので、時間がかかります。
そして、その都度、目打ちで糸目を揃えたりする。それでも直らないものは返品となる。
この布地は、布地だけでデパートで売られているブランド名が付いているストールより高価。
世界的に有名なデザイナーも、この布地のワンランク下の布地でストールを作っている。
パシュミナの国からも「うちではできないから」と問い合わせが来るもの。
しかし、umu-waka創業時の10年前には、この布地とはまだ出会えてなかった。
どこでも購入できるものには興味がなくて、肩書きとかマーケティングで作られた布地にも興味がなかった。
オーガニックだのとうたっていても、仕上げは化学の境地だったり、嘘くさい宣伝文句は嫌いだったし
愛を持って制作している布地を探し続けた。
2010年、日本の特別な技術を持つ、この織屋さんと出会えた。
それはまるで、奇跡のようなこと。
この織り屋さんに育てられた私、umu-wakaでもあります。
だから丁寧に検品をすることから始まる工程は、まるで御神事のようなものでもあり、
そして私自身は、とても瞑想的な時間ともなり、過去の時間に行ったり未来の時間へと旅をする。
細かな作業の手仕事中に、その瞑想的な時間の中で
これから染めたい色やデザインがたくさん降りて来る。
今回は、相当多くのコトが降りている。
早く形にしたい。
昨年は、生多良の健康状態が思わしくなく、それに伴って染めが乱れました。
そしてumu-wakaならではの染め、大島紬白泥染の染料である、美しく調合された白泥が販売中止となる。
これも着物離れなどの影響で、白泥を仕込まなくなるということです。
二つのピンチから、昨年は、その対処のために、再度、染色の勉強や研究に没頭した。
その時のことから、umu-waka創業時の時間軸まで思いの旅が瞑想のように始まる。
そして今の時間軸に戻り
心身ともに、非常に辛かったけれど、今年に入って越えることができたこと。
その超えた時に見えてきたこと。理解したこと。
長かった1年でした。
しかし思うに
創業時は、全てがゼロで知識も経験もないに等しかった。
一つのモノやコトを決めるにも、未開の地なので悩みも苦労も多かった。
でも今は、たくさんの選択肢やモノやコトの中から一つを選ぶ。
第二創業時を迎えているumu-waka。
私にとっては、なんとなく創業時のゼロの時の感覚に似ているようにも感じている。
山深い里山で織られるストールの布地
まだまだ検品&糸直しは確実に2日間はかかります。
その後、汚れ落としの精錬をしてやっと染めが始まる。
染めが始められるまでの間、この大切な検品の瞑想的な時間の中で
時を行ったり来たりしながら、そのタイミングを見つけようと思う。
なかなか、まだまだアップできないその、言葉にならない、文章にできないことが
きっと染め始める時にリリースできるのだろう。
と。
花蛹色の手紙(はななぎいろのてがみ)
2017.01.28 Saturday
花蛹色・hananagi-iro
一度、咲いた花が蛹になって、もう一度、美しく変容して咲く時を待つ色。
幼虫から蛹になると、蛹の中では液状化。人という花も変容する時は、様々な感情が溢れ揺らぐ。
感情という液体は結晶化するかのごとく新しい変容の時を待つ。
蝶が蛹から返って美しく舞う姿は、まるで芋虫だったことなんてなかったようで、
だから人も変容して蝶々になった時は、芋虫で大変だったなんて言わないから、
今だけ花蛹色の中にいる時だけ、汗と涙と一緒に、、、。
花蛹色は、水瓶新月直前の今の私の心色のよう。
新月を過ぎたら、もうじき誕生日迎える。
その誕生日を迎えたら、芋虫だった日々の悲しみなんて忘れて、言葉にしないでおこうと。
私の花蛹色のストールの中にきちんとしまっておこうと思う。花蛹色の手紙を書こうと。
感情を遠くに置いた手紙と、感情の中にある手紙を2通書いた。
そして午前0時を過ぎ旧正月。
明けましておめでとうございます。
雪の便り
2017.01.27 Friday
パール粉とアルミの粉の染料
私の暮らす愛知県犬山市は、名古屋市から電車で35分なのですが
気温が名古屋市内より3度は低い。
そしてアトリエは、木曽川にかかる犬山橋を渡って岐阜県側にある。
川の真ん中に県境があるのですが、どうも川を越えると更に1度か2度は低い。
こちらに来てからは、色んな雪景色や、雪が降る前の凍った空気の色、夜空の中の氷の色
アトリエ近辺は、畑も多く、地面に土が多いこともあって、色んな霜柱の美しい姿を見て気た。
ゴミ出し場にかかる網の表面にできた、霜のキラキラさえ月の光の中では美しく
だから、その景色のいろいろを染めたくて
京都の染料屋さんでキラキラの染料を仕入れるついでに、今回は京都の旅に出た。
また
京都の奥の里山で
また新しい、美しい白い景色の中にあった。
2017年、新年早々、
美しく魅せられたような旅だった。
なんだか
京都から始まること多いな。
旅から戻ると
新しく購入した染め用の大きな寸胴と
新しく織りあがったストールが届いた。
今年は、染め三昧、作品作りの年になるんだろうな。
2017年新春雪の京都旅〜2
2017.01.22 Sunday
2017年、最初の旅は白の世界へ。
親友づくし←昨日のブログ
温泉が良くて選んだお宿もすっかり樹氷。
蟹座の満月明けのお宿での蟹鍋は
私たちに、色んなことを知らせた。
次元格差。そのテーマを深夜遅くまで、持ち込んだ飛騨白川郷の濁り酒を飲みながら語らう。
旅館のお部屋のこたつ〜座椅子があったらなぁ。
次の日は
里山に降り積もった雪が、太陽に照らされて水蒸気と共に空へと。
里山中に、里山を下った山間の道は、その水蒸気で視界が曇った。
亀岡のこの辺りでも、これほど雪が積もることは稀だとタクシーの運転手さんはいう。
この稀な美しい雪景色の中を走り、
狛犬さんも雪のランドセル。
雪が解ければ、軽やかに遊び始めるのでしょうか。
明るい太陽の光とつらら。
その美しい景色のの中、出雲大神宮に来させていただいたことが有り難く。
雪の白に
朱の色。
出雲大神宮に着いてタクシーを降りると、すぐさまに、飴屋のおばちゃんが私たちに駆け寄ってきて
「まあぁ〜可愛いお二人。」って二人とも50歳をすぎてるよ。。。。
「お山に入られるんでしょ。」と。
「スーツケースは社務所で預かってもらえばいいわよ。」と。
社務所まで案内してくれた。
仁美ちゃんは、「あの人、巫女よ。巫女。」と言う。
確かに、私たち以外の人には、お山に入るんでしょ。なんて声をかけていない。
振り返ると、急に現れる飴屋のおばちゃん。無人になってしまうお店。
なんか、きっと私たち、迎えられている〜。なんて幸せ脳みそは言う(笑)
しかし、いつも仁美ちゃんの一言は、楽しいリズムになる。
お山、ご神体山に入るには、白いたすきをかけて入る。
社務所で入山届を書いて、たすきを頂いてからお山へ入る。
こちらがたすき。
あ!
下山の時、この笑殿社の前で、
すってんころりん〜。地面に、お山にハグをするように転んだ仁美ちゃん。
大笑い。きっと神様も大喜び。
お山に入ると
一気に空気感が変わる。
コトンコトンと、樹々から何かが落ちるような音が、楽しげな感じで、あちこちこちらから響きだす。
「わ〜、お迎えされてる。歓迎されている。」と。
神様や存在さまがあちらこちらに。
樹々の間から
太陽の美しく、長い光の道が照らされ
その美しさに立ち止まる。
まるで神様の子供のように。
静かにはしゃぐ。
こちらの春日社の前では
身体中の細胞が喜びだし。
ただ手を合わせて、何度もな何度も頭を下げ、手をフリフリする。
まるで踊りを踊っているような。
磐座の前で長い時間を過ごし
お山を降り、真名井のお水をいただいて帰りました。
旅は第3話へ続く〜
親友づくし
2017.01.22 Sunday
京都の老舗の染料店まで出かける予定をしていた私。
仕入れの後は、京都に住む友人と食事をする予定をしていたが、
どうも、どこかのお店で食事をすることでは時間が足りないような感じがして
温泉にでも一泊してゆっくり語り明かそうと思った。
彼女とは、1996年のオーラソーマのレベル2のコースで出会ってからの親友。
通称・狛犬シスターズ。
今シーズン最大の寒波の雪模様は、東海地区の後、京都を覆うとのことで、日程を1日ずらした。
雪道を車で走る勇気がなかったので、公共交通機関での移動。
最寄りの駅から電車に乗ったものの、乗った途端に車内アナウンス。
近くの踏切で、バスが少しだけ踏切内に引っかかっていたので停止信号。
5分ぐらい停止した後、電車は動き出した。
ほっとしながら次の駅、犬山駅に到着。
息を切らしながら電車に飛び乗ってきた女子は、中学高校の大親友。
今年のお正月は会うことができなかったので心配していた。
会いたいと思っていたところだった。
偶然と偶然が重なって、同じ車両。
答え合わせをして乗り換えの駅、名古屋駅まで話をして別れた。
facebookでは、1日の始まりに「何年か前のこの日には、こんな投稿をしてました。」な
勝手にアップされるサービスがある。
無事に新幹線に乗ったと、京都駅で待ち合わせをしている友人にメッセージを送ろうと
facebookを開くと、大学時代の親友との写真が。
ああ、なんとも親友数珠つなぎで旅は始まったのでした。