鉱物、泥、新しいミネラルを染める
2016.12.02 Friday
白大島紬の白泥染めストール。
イオンカウンターで計測すると確かにトルマリンレベルのイオンが発生。
泥染めつながりでは何のですが、昨年から全国の様々な色合いの泥を染めてみたい。
鉱物を染めてみたい。そんな野望が芽生え、この一年、色々と探求をしていました。
そして、世間の着物離れもありで、白泥染の染料を作っていた会社が今後、白泥染の染料を
作らなくなる、廃盤になるという知らせがあり、ストールに泥を染める方法を
試行錯誤していました。
白泥染の大島紬の場合は、ストールと違って着物は、お洗濯の回数も少ないので
白泥を直接絹糸に施すだけでも、選択堅牢度が低くても大丈夫なようで
紬業界はそれで対処するようですが、umu-wakaの場合は、死活問題。
そんな時に、京都の染料問屋さんが開催する「泥染勉強会」を見つけ今回参加することにしました。
この染料問屋さんは、京都で染めの教室に通うようになった頃からのお付き合い。
今回の勉強会で、不安が全て吹っ飛ぶ染め方法を学びホッと一安心となりました。
また
昨年から日本の紅、赤、朱を探求し始め
弁柄(べんがら)を鉱物から染めの顔料として抽出する方法を試したかったことも叶いました。
他にも群青、黄色い泥、松煙など、数種類の泥から染料を抽出する。
短時間の間の制作だったので、デザイン的には今一歩でしたが
弁柄の一番染目の色合い、2番染目の色合いの変化を見ることもでき
また、松煙と群青で染めたものは、
なんとなくマークロスコの絵画のような、なんかそんなニュアンスにもなり
ちょっと楽しかった。
いつもしない板染めも楽しく
顔料で柄を描いた後に、泥で染める。
仕事とは違う、楽しみながらの染め、ワークは解放された感がありました。
とってもお遊びな木綿に施したお絵かき。
一色の顔料に、一色ごと追加して色作り。
黄色から始まり最後はumu-wakaでいう天鵞絨(びろうど)色のような〜。
最後の皿の色の重ねの背景に
今年、2016年の私の心の機微の重ね色を見る。
ルノワールが、梅原隆三郎に言った言葉を思い出す。
君は色彩を持つ。
デッサンは勉強で補うことが出来るものだが
色彩はタンペラマン(気質)によるものだ。
以前、通っていた染め教室で、ご一緒された方々の作品を思い出しても
今回の教室でご一緒された方々の作品を見ても、それぞれのキャラクター
気質を見ることが出来る。
久しぶりの仕事を離れたワークショップの楽しみで解放された私。
そして
心配事だった案件も、教室のワークと京都老舗の染料屋さんの技術の方とのお話で
全てこの日に解決した。
帰りしな、京都の聖護院カブや海老芋などたくさんの京野菜を買ってリュックに背負い
重いスーツケースを持って京都駅。
あの頃とは違って、
重い荷物を持っていても軽やかだった。
京都タワーはロウソクがモチーフだと。
私の先の時にロウソクの火が灯ったような
そんな京都の旅となった。
過去を振り返り切って、次の日は未来へと。
昨日の振り返りブログ → 夢見坂
今は、時間の交差点なのかもしれないと。